米国株のメリット・デメリットとは?米国株の特徴や仕組みを知っておこう!

資産運用を考える上で「米国株」が気になる方は多いのではないでしょうか。

米国株は市場が長期に渡って上昇を続けており、ディズニーやスターバックスなど日本でも知られる企業の株が1株から購入できます。

米国市場の魅力は株だけではありません。ETF(上場投資信託)はプロが運用するため、初心者でも手が出しやすい金融商品となっています。

一方で日本株より高リスク・高リターン、取引時間が深夜や早朝といったデメリットがあります。

本記事では米国株のメリット・デメリット、米国株投資を行っている筆者が実際に体験した成功談と失敗談をお伝えしていきます。

米国市場や米国株が少しでも気になる方はぜひご覧ください。

米国株のメリット5つとは?

米国株のメリットや日本株との違いを解説していきます。

  • 1株から買う事が出来る
  • 高配当の企業が多い
  • 高い成長率
  • 「GAFA」「ディズニー」など世界の有名企業に投資できる
  • ETF(上場投資信託)も人気

1株から買う事が出来る

米国株は1株から購入可能で少額から投資ができるというメリットがあります。

例えば清涼飲料水で有名な「コカ・コーラ」の株価は2022年1月27日の終値が59.60ドル、1ドル114円で換算すると約6794円で「株主」になる事ができます。

日本株は「単元株制度」によって株式を売買する最低売買株数(1単元)は100株が1単位と決まっています。

日本株でも「単元未満株」は1株から購入できますが、指値(希望する売買価格を指定する注文方法)で購入できない証券会社が殆どであるという現状があります。

少額から株を購入したい方は、米国株を選択肢に入れてみましょう。

高配当の企業が多い

米国は日本より投資が盛んで、株主への還元意識が高い企業が多いという特徴があります。

中でも配当金が高い「高配当」の株を所有することで、長期で安定したリターンを狙う事ができます。

具体的な高配当の企業の利回りを見てみましょう。

企業名ジャンル直近配当利回り
AT&T通信8.58%
エクソンモービルエネルギー4.75%
IBMIT4.89%
コカ・コーラ飲料2.82%
ファイザー製薬3.02%
※2022年1月時点
※上記は「高配当銘柄」の紹介であり、個別銘柄の購入を推奨するものではありません。

コカ・コーラは配当金を59年連続増配(2021年8月時点)しており、「配当貴族」銘柄と言われています。

米国株には長期に渡り毎年配当金を増やす「配当貴族」の企業が多く、日本でも洗剤やシャンプーなどを販売するP&Gは65年、文具やキッチン用品大手のスリーエムは63年連続増配を続けています。

中でもS&P500(上場企業500社の株価指数)に含まれている企業で25年間以上増配している株価の指数は「S&P500配当貴族指数」と呼ばれており、指数と連動した投資信託は数多く販売されています。

配当金や分配金による収益(インカムゲイン)は、長期に渡って安定した利益を見込む事ができます。

配当金や分配金による利益をインカムゲインと呼び、値上がりによる売却益を「キャピタルゲイン」と言います。

高い成長率

米国の株式市場は長期に渡って上昇傾向にあります。

1989年から2018年まで、日本と米国の代表的な株価指数を比較した表が以下の通りです。

出典:金融庁「東証 市場再編について」

TOPIX(東証株価指数):東京証券取引所第一部に上場した全銘柄の株価指数
S&P500:米国上場企業の500社の株価指数(スタンダード・アンド・プアーズ500種指数)

東証の株価はバブル崩壊後から停滞していたのに対し、S&P500は1989年から2018年の約30年で9倍に上昇しました。

世界的に有名なグローバル企業に投資できる

ディズニー、スターバックス、アップルなど日本でもよく知られるグローバル企業に投資できる点も米国株の魅力の1つです。

「GAFA」は、グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルの頭文字からとった大手IT企業4社を指します。マイクロソフトを加えて「GAFAM」と呼ばれることもあります。

※フェイスブックは社名を2021年12月に「Meta」に変更しましたが、GAFAという呼称は変わらず使われています。

GAFAはオンラインでのモノやサービス、情報などをやりとりするプラットフォームを提供しており、「デジタルプラットフォーマー」と呼ばれています。

2020年のコロナ禍でGAFAは更に業績を伸ばし、米国市場の発展に貢献しました。

下記は2020年の日米上場企業の上位10社の営業利益をグラフ化したものです。

参照:内閣官房 成長戦略会議 配布資料

企業の規模を示す指標の1つに「時価総額(株価×発行済み株式数)」がありますが、GAFAは2021年8月に4社合計の時価総額は7兆500億ドル(約770兆円)に達し、日本企業全体の6兆8600億ドル(約750兆円)を超えました。

GAFAの4社で日本の上場企業全体の時価総額を超えてしまうGAFAは米国市場の要の存在と言えるでしょう。

ETF(上場投資信託)も人気

ETF(Exchange Traded Funds)とは株式のように証券取引所に上場し売買できる投資信託です。

通常の投資信託は売買時に指値で注文できませんが、ETFは指値で購入と売却が可能です。

投資信託やETFは複数の銘柄を組み合わせ運用している商品で、S&P500など指数との連動を目指したインデックスファンドや特定のジャンルに特化した商品などがあります。

プロが運用し高いリターンを狙うETF又は投資信託を「アクティブファンド」と呼び、インデックスファンドより高リスク・高リターンとなっています。

例えばS&P500と連動する「バンガード500 インデックスファンド(VOO)」はアップルやマイクロソフト、アマゾン、電気自動車で知られるテスラなど大手企業を組み入れたインデックス型のETFです。

インデックスファンドはETFを運用するために支払う経費率が低い点も魅力で、VOOの経費率は0.003%です。ナスダックに上場している企業100社の動きに連動する「QQQ(インベスコQQQトラスト・シリーズ)」は0.2%となっています。

米国ではインデックスファンドは2008年のリーマンショック時を除き長期に渡って上昇を続けており、初心者でもチャレンジしやすい商品と言われています。

金(ゴールド)のETFである「GLD」、半導体企業の株を組み入れたファンド「SOXX」などジャンルも豊富で、複数の分野に分散して投資する事でリスクが軽減できる可能性があります。

米国株のデメリット

ここまで米国株のメリットや魅力をお伝えしてきましたが、以下のようなデメリットも存在します。

  • ハイリスク・ハイリターン
  • 取引時間が夜間・早朝
  • 情報収集が難しい
  • 為替リスクがある

ハイリスク・ハイリターン

株式ニュースなどで「ストップ高」「ストップ安」という言葉を聞いたことはありませんか?

日本株は1日の値動きの幅を一定に制限(値幅制限)しており、一定の値幅を超えて上がるとストップ高となります。逆に一定の値幅を超えて下がるとストップ安となります。米国株にはこの「ストップ高・ストップ安」という制度がありません。

米国市場には値幅制限がないため、1日で株価が大幅に上がる事もあれば、大幅に下がるリスクもあります。

取引時間が夜間・早朝

アメリカは日本と14時間の時差があり、米国株の市場が開く時間は日本時間で夏時間(3月の第2日曜日から11月の第1日曜日まで)は22:30~5:00、冬時間は23:30~6:00となっています。

時間外に取引できる「プレ・マーケット」と「アフター・マーケット」があり、プレ・マーケットは市場が開く立会時間の1時間半前から、アフター・マーケットは立会時間を過ぎて4時間実施されています。

プレ・マーケット立会時間アフター・マーケット
夏時間21:00~22:3022:30~AM5:00AM5:00~9:00
冬時間22:00~23:3023:30~AM6:00AM6:00~10:00
現地時間8:00~9:309:30~16:0016:00~20:00

日本時間では早朝・夜間となってしまうため、リアルタイムで取引をすると睡眠時間が削られてしまう恐れがあります。

ただし、プレマーケット・アフターマーケットで取引ができる証券会社もありますので、気になる方はチェックしてみましょう。

情報収集が難しい

上場企業を調べる時に、日本では企業のIR情報や会社四季報を見る事で情報収集が可能です。

米国株は企業のホームページが英語ですので、英語が出来る人を除き情報収集がしづらいというデメリットがあります。現地と時差があるため情報の伝達も遅くなることがあります。

英語が得意でない方は、ネット証券からの情報収集がおすすめです。ネット証券会社では米国株の最新レポートや決算速報など情報を発信しており、決算速報は発表翌日に掲載されています。

また、米国版の会社四季報である「米国会社四季報」が東洋経済から発売されており、日本で購入できます。

TwitterなどのSNSでもリアルタイムで情報をチェックすることができ、現地に住み情報を発信する方や米国株に詳しい「インフルエンサー」、新聞記者のアカウントも存在します。こういった個人による情報発信から情報を収集する方法もあります。

為替リスクがある

米国株は日本円をドルに換え購入しますので、円ドルの値動きに伴う「為替リスク」があります。

例えば10万円を1ドル100円のレートでドルに換えると1000ドルですが、円安となり1ドル125円になった場合800ドルで、200ドルの差が出てしまいます。

円高の時に円をドルに換えておくことで、手持ちのドルを増やすことができます。

オンラインの証券会社・銀行の中にはあらかじめ定めた為替レートに達した時アラートメールが来るサービス金融機関がありますので、アラートを設定しメールが来た時にドルに換えておくという方法もあります。

ただ為替レートの差額による利益も収入となりますので、確定申告が必要となるケースがあります。

米国株体験談 ~成功談と失敗談~

筆者は2020年10月から米国株・ETF投資を行っています。

今回は米国株で成功・失敗した実際の体験談をご紹介します。

成功談

2021年はビットコインの価格が大幅に変動しましたが、「スクエア(現社名:ブロック)」というビットコイン関連の銘柄で計10万円の売却益を得る事ができました。

ブロックは元々電子決済サービス企業であり、アカウントを作成することでクレジットカード・電子マネー決済ができるサービスを展開しています。

日本でも近年スマートフォンや電子マネーによる決済が普及していますが、米国は世界の金融取引情報サイト「Forex Bonuses」内で、2017年の「キャッシュレス化の進む主要経済大国」の第5位でキャッシュレス決済が浸透しています。

ちなみに1位はカナダ、日本は9位です。

事業者側はPOSレジと呼ばれる店側が販売情報を記録・管理するシステムをアプリで利用する事ができ、多くの店舗で導入されています。

ブロックの創業者でCEOであるジャック・ドーシー氏は2021年11月までTwitterのCEOを兼任していました。

自ら暗号資産を持ちブロックでもビットコイン事業を手掛けています。

2021年にビットコインの価格が上昇するとブロックの株価も連動することがSNSで話題となり、「ビットコインを買うのは怖いけど、連動しているスクエアの株を買おう」とスクエアの株を購入しました。

もしビットコインが下がっても、スクエアのPOSシステムは事業として魅力的であり株価は長期で上がると考えていました。

3回ほど売買を繰り返し、合計約10万円の利益を得る事が出来ました。

失敗談

一方でARK社という資産運用会社のETF「ARKK」で2021年に約5万円の損失を出してしまいました。

ARKKは革新的な企業に投資するファンドで、2020年に株価を大きく伸ばした「テスラ」やオンライン会議サービスで知られる「Zoom」などの株を組み入れ運用するアクティブファンドです。

TwitterでARKKが話題になったことで欲しくなり、ARKKが購入できる証券会社の口座を開設し20口購入しました。

2021年の3月初めにARKKの株価は急降下、以降は下がり続け7月に損切り(損失を抱えた株を売却し損失を確定する事)しました。

よく調べずに流行りの投資に飛びついたことが原因であり、今は入念に情報収集を行い、慎重に検討した上で購入するようにしています。

まとめ

米国株のメリットとデメリット、日本株との違いや筆者の体験談をお伝えしてきました。

「値幅制限が無い」「為替リスクがある」など日本株より高リスクで「大損するのでは」「怖い」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、分散して投資することでリスクを軽減できる可能性があります。

また、「含み損が○○ドルになったら売る」といった損切りラインを決めることも重要です。

インデックス型のETFは初心者でも始めやすい商品と言われています。

この記事を参考に米国株のメリット・デメリットを知り、成長率が高い米国市場での資産運用を検討してみましょう。