つみたてNISAで失敗しやすい5つの具体例と成功するためのポイントを解説

「つみたてNISAってよく聞くけど、損をするのか損しないのか知りたい」

つみたてNISAはおすすめと巷でよく聞くけれど、本当のところはどうなのでしょうか。

これから投資を考えている方にとって、投資するお金がどうなるのかは気になるところ。
投資は、必ずしも成功するとは限りません。これはつみたてNISAにも同じことが言えます。

時には損失を出してしまうケースもあるのです。

この記事では、これからつみたてNISAを始めようと考えている方に向けて、

  • つみたてNISAの失敗事例
  • 利益を上げる確率を高めるポイント 

について解説します。

最後まで読めば、安心してつみたてNISAをスタートするための準備ができるでしょう。

つみたてNISAの概略

つみたてNISAの失敗事例をお伝えする前に、つみたてNISAの概要とメリットについて簡単に解説しましょう。

つみたてNISAとは?

NISA(少額非課税制度)には「NISA」、「ジュニアNISA」、「つみたてNISA」の3種類があります。

通常、株式などの金融商品取引において運用益や配当益が生じた場合、その利益に対して約20%の税金がかかりますが、NISA口座を利用して取引した場合は運用益や配当益を非課税対象にできます。

つみたてNISAの特徴は長期・積立・分散投資を前提としており、購入銘柄は厳選された公募株式投資信託(=投資信託)のみとなります。

毎月少額からでも購入でき、分散投資により価格変動リスクに強い資産運用が可能です。

つみたてNISAの詳しい説明は、下記の記事をご参照ください。
つみたてNISAをわかりやすく、徹底的に解説!

つみたてNISAのメリット

つみたてNISAのメリットは次の3点です。

① 運用益や配当益が非課税

最大のメリットはNISA口座を利用して取引した場合、運用益や配当益を非課税にできる点です。

通常の投資では運用益や配当益に対して約20%の税金がかかりますが、つみたてNISAを活用すると得られた利益には税金が課せられません。

利益が大きくなればその分だけ納める税額は増えますので、課税と非課税との差異は、長期運用になるほど大きくなります。

② リスクに強い資産運用

投資信託を毎月一定額かつ少額で購入することで、価格変動リスクに対応できます。

金融商品はどのようなことがきっかけで暴騰・暴落するか分かりません。

投資した直後に値上がりして利益を得られるケースはありますが、反対に投資直後に暴落し、大きな損失を出してしまうケースもあるのです。

こうした価格変動リスクを回避するためには、投資するタイミングを分散させるのが有効です。一定金額を定期的に購入し、リスク低減する手法を「ドルコスト平均法」と呼びます。

③ 毎月少しづつ積み立てができる

つみたてNISAは毎月の積立購入方式のため、少額から資産運用が可能です。

そのため、手持ち資金が少なくても運用を始めることができます。

また各証券会社で自動買い付け設定機能があり、毎月購入を指示する手間も不要です。

ただしつみたてNISAを利用する場合は証券会社の口座を使用するので、毎月の投資信託購入のタイミングで必要な資金が入金されていなければならないので、ご注意ください。
※ネット証券(楽天証券やSBI証券)によってはクレジットカードからの引き落としができる場合があります

つみたてNISAで失敗しやすい5つの失敗例について

つみたてNISAの基本を抑えた上で、これからつみたてNISAを始める方が知っておきたい失敗例を5つご紹介します。

失敗例①:「値下がり」や「暴落」で怖くなり売ってしまう

始めの失敗例は相場の急落時での売却です。

つみたてNISAを始めて相場急落の場面に遭遇すると、損失が怖くなり購入銘柄を売却してしまう方が多いのではないでしょうか。

実際にリーマンショックや新型コロナウイルス感染症の流行初期には、株式市場が大きく下落する様子が見られ、アメリカの株式指数「S&P500」は2020年2月から3月にかけて、約30%暴落しました。

今後10年以上に渡って長期運用していけば、このような相場急落の局面に遭遇する機会はあるでしょう。

しかし価格の暴落によって含み損が大きくなっても、慌てて購入銘柄を売らないようにする必要があります。

つみたてNISAは長期・分散・積立を基本的な手法としているので、市場が上昇・下落トレンドのどちらであっても、一定のタイミングで購入し続けるのを推奨します。

市場の下落に煽られて売ってしまえば、それまでの積立投資が無駄になってしまうので、ご注意ください。

具体例②:リスクの高い投資信託銘柄を購入してしまった

2つ目の失敗例は何も考えず銘柄選択をして、高リスクな投資信託銘柄を購入してしまうことです。

つみたてNISAで購入できる投資信託銘柄には、株式・債券・商品など様々な金融商品があるだけではなく、国内・外国・先進国・新興国など地域別にも銘柄選択できます。

一般的に価格変動リスクの大きい金融商品は株式・商品であり、反対にリスクが小さいのは債券など。

また地域によっても価格変動リスクは異なり、新興国の金融商品はハイリスクの傾向にあります。

安定した運用を目指すのか、もしくはアクティブな運用を目指すのかは個人の資産運用方針によって異なりますが、自分の投資方針に見合った銘柄選択は重要ですので、投資の前に検討する必要があります。

具体例③:気軽に銘柄を切り替えたため非課税枠を使い切ってしまった

3つ目の失敗例は、つみたてNISAの年間非課税枠を使い切ってしまう事例です。

つみたてNISAの非課税枠は年間で最大40万円。

この40万円は年間購入金額の上限を意味しており、売却したとしても非課税枠が広がらない点に注意が必要です。

仮にA銘柄を20万円分購入した後に売却し、さらにB銘柄を20万円購入したとしましょう。

この場合、A銘柄とB銘柄を合わせて40万円分を購入しているため、「年間40万円の非課税枠を使い切った」と認識されるのです。

20万円分のA銘柄を売却しても非課税枠は戻らないので、簡単に売却するのは避ける必要があります。

つみたてNISAは長期運用が基本ですので、長くホールドし続けられる銘柄選択が重要です。

具体例④:つみたてNISAを始めてすぐに利益が出たので売ってしまった

4つ目の失敗例は、つみたてNISAで購入した銘柄で含み益が出た直後に売る事例です。

こちらの事例も上記同様に、短期で売却してしまうとその分の非課税枠を減らすことになります。

つみたてNISAの運用期間は最長で20年であり、毎年40万円の運用を20年続けると非課税枠は最大で800万円。

この非課税枠800万円を長期運用し、さらに複利効果を利用すれば、大きな利益を狙える可能性があります。

複利効果とは資産運用で得た収益をふたたび投資に回すことで、利益が利益を生んでいく効果です。

利益が出てすぐに売却すると、将来的に期待できる利益を取り損ねてしまう恐れがあります。

具体例⑤:毎月の積立金額に無理がある

最後の具体例は、毎月の積立金額に無理があり、つみたてNISAを続けられなくなる事例です。

上記の通りつみたてNISAは長期運用前提であり、毎月一定額を少額で購入し続けることで価格変動リスクを抑えつつ、複利効果で利益を狙えます。

そのため投資の継続を最優先に考えると、無理のない積立金額設定が重要になります。

つみたてNISAでの毎月の積立金額は、100円~33,333円/月の範囲で設定できます。

無理のない積立金額設定にすると非課税枠40万円を使い切れないかもしれませんが、毎月の資金に余裕のある時やボーナスを受け取った時などに投資額を大きくする方法も良いでしょう。

投資額を増やすタイミングに決まりはありませんが、相場が急落したタイミングで安値を買い増しするのがおすすめです。

つみたてNISAで成功するためのポイント

つみたてNISAの失敗事例を5つ解説しました。

それではつみたてNISAで成功するにはどうすれば良いのでしょうか。

ここでは「成功」の定義を「損失額を出さない」とした上で、つみたてNISAにおける成功率を上げるためのポイントを見ていきます。

1投資目標を明確にする

1つ目のポイントは、投資目標を明確にすることです。

つみたてNISAは長期資産運用が基本であり、長く続けるほど利益を期待できます。

運用期間中には、想定外の相場暴落や逆に高騰する局面に遭遇するかもしれませんが、その時に狼狽えて売却してしまわないためにも、投資期間や最終目標を決めておく必要があるでしょう。

多少の相場急落であれば株価も戻ってくる可能性がありますので、長期運用前提で「投資期間を20~30年」と明確に決めておけば、相場急落時でも簡単に売却する事態を防げるでしょう。

2長期・積立・分散投資が基本

2つ目のポイントは長期・積立・分散投資を基本的な投資スタイルとすること

元々つみたてNISAは長期・積立・分散を前提に作られた制度であり、長期運用で毎月一定額を購入し、銘柄も金融商品や地域を分散させれば、価格変動に対して有利な資産運用を目指せます。

もちろん非課税枠を最大限活用するために、ひと月の間で資産に余裕ができたり、ボーナスを支給されたりした時は、普段よりも投資額を増やすのもおすすめです。

3長く続けて複利効果を狙う

3つ目のポイントは、つみたてNISAを長く続けて、複利効果を活用することです。

つみたてNISAの運用期間は最長で20年。

これだけの長い時間があれば、複利効果によって資産を大きく増やせる可能性があります。

下記の表は、つみたてNISAの積立金額別資産シミュレーションです(想定利回りは5%前提)。

■つみたてNISAの積立金額別の資産シミュレーション(想定利回り5%前提)

月額1年目5年目10年目15年目20年目
1万円13万円70万円158万円272万円417万円
2万円25万円139万円317万円544万円833万円
3万円38万円209万円475万円816万円1,250万円
3.3万円42万円232万円528万円906万円1,389万円
(出典:金融庁/資産運用シミュレーションより試算)

月額3万円を20年間積み立てると、資産は総額1,250万円になります。

元本は800万円ですので運用益は1,250万円-800万円=450万円。

このように、つみたてNISAは長く続けて複利効果を利用すると効率的に資産を増やせる可能性が高くなります。

長く続ける前提で、つみたてNISAの資産運用に取り組むのをおすすめします。

まとめ

今回はつみたてNISAの失敗例をお伝えしました。

つみたてNISAで投資できる銘柄は国の基準をクリアした銘柄ですが、100%利益が出ると保証できる金融商品はありません。

そのため今回ご紹介した失敗例や、投資で良い結果を出せるようなポイントを押さえた上で、つみたてNISAを始めるのをおすすめします。

始めのうちは少額から投資し始め、慣れてきたら徐々に投資額を増やすと良いでしょう。

特にSBI証券であれば毎月100円からつみたてNISAを利用できるので、これからつみたてNISAを始めたい方には、SBI証券を推奨します。

ABOUT US

池田 昇太
ファイナンシャルプランナー2級。 「人々のお金の不安を解消したい」という想いを抱きつつ、FPとして相談業、金融ライターとして業務を請け負う。ライターとしてはメディアのSEO記事や取材記事の執筆・編集・ディレクションなど。 また、個人投資家としてFX・株式・投資信託・仮想通貨などにも投資している。