つみたてNISAはいくらから始める?積立て金額の目安を決める方法

これから「つみたてNISA」を始めようと考えていて、積立金額をいくらから始めるべきかお悩みの方はいませんか?

つみたてNISAは長期投資ですので、無理をせず長く続けられることが大事です。

とはいえ、

「毎月たくさんのお金を投資に使えないけど、どうすればいい?」

「非課税枠40万円は使いきった方がいいのか?」

「毎月の積立金額によって、将来どのくらい資産が増えるのか知りたい」

このような疑問をお持ちの方もいるでしょう。

そこでこの記事では「つみたてNISAの積立金額に関する疑問」について解説したいと思います。

自分に合った金額を設定し、無理なくつみたてNISAを始められるようにしましょう。

つみたてNISAはいくらから始めるべきか?

「投資なんて元本が小さければ、やる意味がないんじゃない?」

そう考えている方もいるのではないでしょうか。

確かに元本が少なければ運用の効果は大きく下がりますが、早めに投資を始めれば、その分だけ投資の経験を積めます。

ここではつみたてNISAの投資額と、長期投資の効果について解説します。

つみたてNISAは100円からでも投資できる

つみたてNISAは毎月一定金額を自動購入でき、購入金額は100円~33,333円の範囲内で設定可能です。

投資額が100円からであれば、投資初心者にとっても気軽に始められますし、投資に慣れてくれば後から毎月の投資額を増額できます。

ただし証券会社ごとに最低購入金額・設定方法は異なるので、投資を始める前に確認するようにしましょう。

積立て金額の目安は?無理のない範囲で運用開始を

つみたてNISAは「投資を続けること」が大切になるので、毎月の投資額を無理のない範囲で設定するのがおすすめです。

つみたてNISAで取り扱うことができるのは国の基準をクリアした銘柄のみであり、長期・分散・積立投資に向いていますので、リスクを抑えながら長い時間をかけて資産を増やすことを期待できます。

加えて運用益は年間40万円まで非課税対象であるため、税負担も抑えられるでしょう。

また、つみたてNISAによる資産運用は長く続けるほど複利の効果を得られるので、効率的な運用を狙えます。

そのためつみたてNISAは、どれだけ長く続けられるかがポイントとなるため、毎月の積立金額を無理のない範囲で設定するのが大切になるのです。

具体的に複利の効果でどれほど資産を増やせるのかは後述します。

積立金額は途中でも変更できますが、途中解約をしないようにするのを推奨します。

非課税枠40万円は使い切るべきか?

つみたてNISAでは、非課税枠40万円を使い切った方が節税効果は高まりますので、生活資金に余裕のある方は投資額を年間上限額に近づけると良いでしょう。

さらに毎月一定額を分散投資すれば、価格変動リスクも抑えられます。

もちろん投資信託には価格変動による元本割れのリスクがありますので、注意は必要です。

ここでは節税効果と分散投資について触れた上で、非課税枠を上限まで活用した場合の運用案を解説します。

非課税枠40万円は最大限使い切った方が良い

「つみたてNISA」の年間購入枠(非課税枠)は上限40万円です(購入額累計は最大800万円)。

年間40万円までなら税負担を抑えられるので、生活資金に余裕のある方は年間購入枠を最大限活用するのが良いでしょう。

下記の表1は、積立金額別の資産シミュレーションです(想定利回りは5%前提)。

【つみたてNISAの積立金額別の資産シミュレーション(想定利回り5%前提)】

月額1年目5年目10年目15年目20年目
1万円12.2万円68.0万円155.2万円267.2万円411.0万円
2万円24.5万円136.0万円310.5万円534.5万円822.0万円
3万円36.8万円204.0万円465.8万円801.8万円1,233.1万円
3.3万円40.9万円226.6万円517.6万円890.9万円1,370.0万円

出典:金融庁|資産運用シミュレーション

はじめに月額1万円を20年間積み立てると、資産は総額411.0万円になります。

元本は240万円ですので運用益は、411.0万円-240万円=171.0万円。

運用益にかかる税金は約20%ですので、節税額は171.0万円×20%=34.2万円となります。

次に月額3.3万円を20年間積み立てるパターンを見ると、資産は総額1370.0万円。

元本は800万円ですので、運用益は1370.0万円-800万円=570.0万円となりますので、節税額は570.0万円×20%=114.0万円です。

月額1万円の場合で節税額は34.2万円であり、月額3.3万円の場合で節税額は114.0万円となりので、両者を比較すると、月額が大きいほど節税効果は大きくなると分かるでしょう。

運用益にかかる税金20%の有無は資産運用において大きな差となります。

したがって非課税枠を使い切ることができれば、高い節税効果を得られます。

分散投資は投資金額の平準化が基本!

資産運用におけるリスク回避の手法の一つに「時間の分散」があります。

毎月一定金額を購入することで購入タイミングを分散できるため、相場の急落といった価格変動リスクを低減可能。

相場の急落はいつ起こるか誰にも予測できないため、購入金額は変動させず一定金額を分散して購入し続けるのがポイントとなります。

つみたてNISAの場合、非課税枠は最大40万円/年ですので、非課税枠を使い切る前提であれば毎月3.3万円ずつの購入が基本的な運用です。

おすすめの運用案(積立金額について)

「一定金額を分散して購入し続けることが、価格変動リスクを低減する方法である」と説明しましたが、実際につみたてNISAでの積立金額はどのように設定するのが良いのでしょうか?

上記の内容をまとめると、積立金額を決める上で重要な要素は下記の2つです。

1.つみたてNISA非課税枠(40万円/年)は最大限使い切るのがベター

2.価格変動リスクを低減するために、積立金額は一定金額を分散して購入する

この2点を遵守するのであれば、毎月同じ金額(33,333円/月)を購入するのがおすすめです。

ただし、毎月3万円もの投資を始めるのは難しい人もいるでしょう。

その場合の運用案は毎月の購入金額を抑え、ボーナスなどを使って購入額を増やす手法です。

下記の表をご覧ください。

【つみたてNISA/おすすめの運用案(積立金額について)】

 毎月同じ金額を積立する場合非課税枠40万円を使い切る場合
<運用案1><運用案2><運用案3>
1月33,333円20,000円10,000円
2月33,333円20,000円10,000円
3月33,333円20,000円10,000円
4月33,333円20,000円10,000円
5月33,333円20,000円10,000円
6月33,333円20,000円+ボーナス80,000円10,000円+ボーナス140,000円
7月33,333円20,000円10,000円
8月33,333円20,000円10,000円
9月33,333円20,000円10,000円
10月33,333円20,000円10,000円
11月33,333円20,000円10,000円
12月33,333円20,000円+ボーナス80,000円10,000円+ボーナス140,000円
合計399,996円400,000円400,000円

運用案1は毎月一定額を投資した場合のシミュレーションであり、運用案2と3は毎月の投資額を抑えつつ、大きな金額を投資できるタイミングで、投資した場合のシミュレーションです。

毎月3万円の納入が難しいようであれば、3→2→1万円/月と毎月の購入金額を抑えて、非課税枠を使い切るためにボーナスなどで購入金額を補填します。

なお、ボーナスを使い購入額を増やすのは、6月と12月などに固定する必要はありません。

相場が急落した場合にボーナスを利用し、安値を買い増しするのも良い手法です。

つみたてNISAは長期投資前提。続けることが第一優先

非課税枠をフル活用した運用方法を解説しましたが、「年間40万円も投資に捻出できないよ」と感じた方もいるでしょう。

そのような方は、少額からつみたてNISAを始めるのをおすすめします。

毎月3,000円積み立てると20年後いくらに?

例えば毎月3,000円からつみたてNISAを開始し、20年間運用するとしましょう。

下記の表3を見ると、毎月3,000円を想定利回り5%前提で積み立てると、20年後には約123.3万円になります。

【表3:「つみたてNISA」年率5%での積立金額別の資産シミュレーション(想定利回り5%前提)】

月額1年目5年目10年目15年目20年目
3,000円3.6万円20.4万円46.5万円80.1万円123.3万円

参考:金融庁|資産運用シミュレーション

元本の72万円に対して71.25%もの利益が発生していますので、複利効果は時間が長いほど、その効果は大きくなると分かるでしょう。

毎月3,000円程度であれば、節約してお金を捻出できるのではないでしょうか。

1~2年では大きく変わりませんが、コツコツと資金を貯めて運用していけば、10~20年後では大きな差となるでしょう。

したがって、つみたてNISAは少ない金額でも長期に続けることが第一優先になります。

時間を味方にしよう(複利効果の最大享受)

20~30代の方であれば、マイホーム購入や老後までは、まだまだ時間的な余裕があるでしょう。

マイホーム購入でも最低10年、老後を考えると約30~40年程度の時間はあるのではないでしょうか。

これだけの長い時間を銀行預金するのは非効率であり、複利効果を味方にして資産を大きく増やすのが効率的でしょう。

下記の表4では、貯金だけの場合と資産運用で運用した場合との比較を整理しました。

【表4:貯金と複利効果との差異(想定利回り5%前提)】

 1年後2年後3年後4年後5年後
毎年100万円貯金した場合100万円200万円300万円400万円500万円
毎年100万円を+利回り5%で資産運用した場合102.3万円209.8万円322.9万円441.7万円566.7万円

参考:金融庁|資産運用シミュレーション

貯金だけでは単なる足し算となり、5年後の資産は500万円です。

一方で資産運用での複利効果は掛け算ですので、期間が長いほど効果は加速的に大きくなります。

毎年100万円貯金した場合と資産運用(想定利回り+5前提%)では、5年で約67万円もの差が生じます。

このように資産を増やす方法として複利の効果は大きく、資産運用を長く続けるほど大きな利を期待できるでしょう。

まとめ

今回はつみたてNISAにおける毎月の金額設定について解説しました。

つみたてNISAでは年間40万円までなら運用益が非課税になるだけでなく、時間を分散することで価格変動リスクを抑えられます。

そのため毎月の投資額は、上限である40万円を使い切れるように設定するのが効果的です。

しかし、年間40万円もの金額を投資に費やせない方は少額から始め、後から投資資金を足す方法も良いでしょう。

早く始めるほど複利の効果を味方にできるので、資産運用を考えている方は早めに開始するのをおすすめします。

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池田 昇太
ファイナンシャルプランナー2級。 「人々のお金の不安を解消したい」という想いを抱きつつ、FPとして相談業、金融ライターとして業務を請け負う。ライターとしてはメディアのSEO記事や取材記事の執筆・編集・ディレクションなど。 また、個人投資家としてFX・株式・投資信託・仮想通貨などにも投資している。