投資初心者の方にとっては、口座と聞けば銀行口座?と思うかもしれません。
投資を始めるにあたって、証券会社で作る口座のことを「証券口座」と呼びます。
証券口座には、種類がいくつかあります。証券口座を開設したことがある人は、口座選択の際にどれを選べば良いか迷った方は多いのではないでしょうか?
今回は、投資を始めるために必須となる「証券口座」について、その種類と違いを解説していきます!
目次
証券口座について
投資で使用する口座は、基本的に証券会社で開設手続きをします。
その際に口座の種類を選ぶことになるのですが、今回の記事では、それぞれの違いについて順に説明していきます。
4種類の口座
まず初めに、口座開設で選べる口座には、細かく分けると4種類あります。
資産運用始めようと思っても、口座の違いがわからない方、どうやって口座の種類を選べばいいのかわからないそんな方に、今回の記事を読んでいただければと思います。
では、それぞれの特徴、メリットデメリットについて詳しく説明します!
特定口座とは
証券会社で口座開設する際に、まずは特定口座と一般口座のどちらかを選択する必要があります。
特定口座とは、証券会社などの金融機関で開設する口座のことで、金融機関の方で売却損益の計算などを行ってくれるため、確定申告や納税が簡単になる口座です。
納税が楽になるので、多くの人が特定口座を選択しています!
特定口座には源泉徴収ありと源泉徴収なしの2種類があり、どちらかを選択します。
特定口座・源泉徴収あり(源泉徴収選択口座)
この口座は納税申告を簡素化し、投資家の確定申告の負担軽減のために作られたものです。
最大の特徴は自分で確定申告を行う必要がない(行った方が良いケースもあります)ことです。
金融機関が売却損益・税金の計算を行い、納税も代わりに行ってくれます。
源泉徴収された後の会社員の給料のように、受け取る額は既に税金の引かれた額になっており、自分で利益や税金について計算せずに済むため、初心者向けとも言えるでしょう。
多くの人が特定口座の源泉徴収ありを選択しています。
ですので、基本的にはこの口座を選べば間違いはないです。
特定口座・源泉徴収なし(簡易申告口座)
この口座は、証券会社などの金融機関で売却損益の計算はしてくれますが、税金の計算や納税までは行ってくれません。
つまり、自分で確定申告を行う必要があります。
特徴としては、証券会社が1年間の譲渡損益を計算し、口座保有者に対して「特定口座年間取引報告書」を発行してくれることです。
この報告書を使うと自分で計算をする必要はなく、確定申告を容易に行うことができます!
一般口座とは
ここまでで、特定口座を選べばいいのね!と思った方が多いと思いますが、一般口座についても紹介します!
一般口座
この口座は、売却損益の計算も確定申告も自分で行います。
取引ごとに都度発行される証券会社などの取引報告書などを使って、1年間の取引で発生した売却損益を自分で計算しなければなりません。
手間もかかり、初心者にはおすすめしにくい口座です。
NISA口座とは
これまでご紹介した特定口座、一般口座のどちらかを選ぶのですが、現在はNISA口座というものが存在します!
初心者の方はこちらをぜひ有効活用してみてください。
NISA口座
NISA口座(NISA=少額投資非課税制度)は、譲渡益や配当金が一定期間非課税になる口座です。
開設期間や非課税枠などの制約はあるものの、一番お得に利用できる口座と言えます。
NISA口座内で得られる利益はすべて非課税のため、損失が発生した取引があっても、譲渡益や配当金と損益通算することはできないため、この点で注意が必要です。
また、1年間に利用できるは一つの金融機関の1口座だけで、金融機関を変更する時は翌年までできません。
メリット・デメリット比較
では、口座の種類がわかったところで、それぞれのメリット・デメリットについて比較していきたいと思います!
まずは、以下の比較表をご覧ください。
口座の種類 | 特定口座(源泉徴収あり) | 特定口座(源泉徴収なし) | 一般口座 | NISA口座 |
特徴 | 金融機関が納税を行い、自動的に税金が引かれた後の利益を受け取る。 | 自分で確定申告をする必要があるが、「年間取引報告書」で簡単に手続きができる。 | 取引毎に発行される「取引報告書」などを元に自分で税金を計算し、確定申告を行う。 | 利益は一定期間非課税のため、確定申告不要。 |
年間取引報告書の交付 | 〇 | 〇 | × | × |
確定申告 | 不要(自分でも可) | 必要 | 必要 | 不要 |
損益通算 | 源泉徴収ありの特定口座内で可能 | 可能 | 可能 | 不可 |
損失の繰越控除 | 損失の繰越控除(3年)には確定申告が必要 | 可能(3年) | 可能(3年) | 不可 |
特定口座(源泉徴収あり)のメリット・デメリット
メリット
〇確定申告が原則不要。
→損失が出た場合には確定申告をしないと譲渡損失の繰越控除を受けることができません。
しかし、確定申告をすれば、一般口座や他の証券会社の特定口座の譲渡損益と通算して還付を受けたり、損失の繰越控除の適用を受けることができます!
〇確定申告をする場合も「年間取引報告書」で簡単に済ませることができる。
〇所得税の配偶者控除や扶養控除の判定基準となる合計所得金額、また住民税や国民健康保険料の算定基準となる総所得金額等に加算されない。
→譲渡益が得られた際に源泉徴収され、納税義務を果たしているため、あえて所得に加える必要がないのです。
デメリット
〇譲渡益や配当金の年間合計金額が少額でも、必ず課税されてしまう。
→給与所得者、年金受給者は、年間20万円以下であれば、その所得については確定申告や納税の義務はありませんが、この場合課税されます。収入のない人は注意してください。
特定口座(源泉徴収なし)のメリット・デメリット
メリット
〇確定申告をする際に、「年間取引報告書」で簡単に済ませることができる。
〇給与所得者や年金受給者の場合、給与または年金以外の年間所得合計が20万円以下であれば、確定申告や納税の必要がない。
→自分で確定申告をするため、納税しなくて済むのです。
デメリット
〇売却損益の計算まではしてもらうことができるが、税金の計算や納税までできないため、自分で確定申告をする必要がある。
〇確定申告の際に「源泉徴収なし」の口座の利益が、配偶者控除や扶養控除などの配当控除判定対象の合計所得金額に含まれてしまうこと。
口座の所得が多いと、控除額が減ってしまうことも。
〇住民税や国民健康保険料の算定で、「源泉徴収なし」の口座の利益は総所得金額等に含まれるため、所得金額によっては国民健康保険料が上がってしまう可能性がある。
一般口座のメリット・デメリット
あえて一般口座を選ぶメリットは基本的にないと言われていますが、念のため紹介します。
メリット
〇未上場企業の株式を取引できる。
→特別口座は対象外なので、未上場株式を取引するためには一般口座が必要です。
・給与所得者や年金受給者の場合、給与または年金以外の年間所得合計が20万円以下であれば、確定申告や納税の必要がない。
デメリット
〇自分で一年間の譲渡損益などすべてを計算する必要がある。
〇一般口座の利益が配偶者控除や扶養控除などの配当控除判定対象の合計所得金額に含まれてしまうため、口座の所得が多いと、控除額が減ってしまうことも。
〇住民税や国民健康保険料の算定で、一般口座の利益は総所得金額等に含まれるため、所得金額によっては国民健康保険料が上がってしまう可能性がある。
NISA口座のメリット・デメリット
メリット
〇非課税のため、譲渡益や配当金から源泉徴収されることはなく、確定申告による納税は不要。
デメリット
〇NISA口座内で損益通算されることはなく、ほかの口座との間で損益通算されることもない。
→NISA口座内で大きな損失が出た場合も、税務上の損失はないものとされます。
〇確定申告によって3年間の繰越控除を受けることはできない。
初心者が開設するべき口座とは
4種類の口座の中で、初心者におススメの口座は、
「特定口座(源泉徴収あり)とNISA口座」です!
利益が少額でも必ず源泉徴収されてしまいますが、
・損益通算が自動的に行われること
・確定申告をする際も「年間取引報告書」があること
・配偶者控除や扶養控除、国民健康保険料などに影響しないこと
などのメリットを考えると特定口座(源泉徴収あり)がおススメです。
非課税のメリットがあるのはNISA口座なるので、初心者の方はまずはNISA口座を開設して運用してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、投資を始めるにあたって必ず必要となる口座の種類について解説しました!
一般口座など、これから投資を始める方にはすぐに必要はないかもしれませんが、将来もしかしたら利用することになるかもしれません。どのような口座があるのかだけでも覚えておきましょう!
初心者の方には、特定口座、NISA口座で資産運用を始めてみてはいかがでしょうか。
1特定口座(源泉徴収あり)
2特定口座(源泉徴収なし)
3一般口座
4NISA口座