年代別金融行動に対する意識調査まとめvol.1

 今回は、金融広報中央委員会が発表した、「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和元年)」から、年代別の金融資産に対する考え方を見ていきたいと思います。

別の特集記事では、総務省の平成30年度の調査結果をまとめましたが、今回はまた別のデータを読み取っていきたいと思います。

年代別の数値を比較しながら、金融資産に対して自分なりに考えてみましょう。

金融資産に対する年代別結果

  まずこの調査では、金融資産とは「定期性預金・普通預金等の区分にかかわらず、運用の為または将来に備えて蓄えている部分とする。ただし、商・工業や農・林・漁業等の事業のために保有している金融資産や、土地・住宅・貴金属等の実物資産、現金、預貯金で日常的な出し入れ・引落としに備えている部分は除く」と定義しています。

 つまり、実物資産は含まず、運用か将来に備えた分の金融資産を指しています

保有している金融商品について

 まずは、保有している金融商品の割合について見ていきましょう。

(実数)預貯金(ゆうちょ銀行行の貯金を含む)金銭信託(ヒットむ)積立型保険商品(生保・損保)個人年金保険債券株式投資信託(MRF/MMF/
REITなどをむ)
財形貯蓄その他金融商品(金貯蓄口座、金融系派生商品など)いずれも
していない
無回答
総数%
(2500)
94.12.719.517.85.019.616.85.66.65.40
20歳代(646)95.82.513.010.11.49.88.27.14.64.00
30歳代 (438)92.93.719.916.94.321.218.39.17.36.40
40歳代 (440)91.83.216.116.84.818.015.74.86.48.00
50歳代 (395)92.91.823.523.55.623.520.34.37.16.10
60歳代 (581)95.72.426.223.99.327.923.92.67.94.00

 20代預貯金の保有率が圧倒的に高く、他の年代と比べ、株式・投資信託などの証券投資を行っている人は、かなり少ないことがわかります。

20代のほとんどが銀行にお金を預け、積極的な資産運用はしていないということになります。

金融資産の保有額

 次に、保有している金融資産の保有額を見てみましょう。

(実数) 100万円未満 100-200万円未満 200-300万円未満 300-400万円未満 400500万円未満 500-700万円未満 700-1,000万円未満 1000-1,500万円未満 1,5002,000万円未満 2,0003,000万円未満 3,000万円以上 無回答 平均
(円)
中央値 (円)
総数 %
1550
26.512.67.05.93.96.76.78.24.05.08.84.61,059300
20歳代 35451.118.97.64.83.43.71.72.01.400.64.819880
30歳代 27822.315.510.15.85.410.17.99.73.65.41.13.2572300
40歳代 26222.59.96.58.04.67.67.311.54.24.67.36.1972375
50歳代 24821.410.98.16.02.85.66.09.34.48.113.73.61,496420
60歳代 40813.77.84.25.63.77.110.39.86.17.619.14.91,930845

 20代はまだ収入も少ないため、保有額は他の年代よりも少額になっています。

興味深い点として、50-60代になると、保有額は二極化の傾向にあり、200万円未満か3,000万円以上と差が見受けられます。

年収の差や事故や病気などの事情もあるかもしれませんが、老後に備え資産形成してきたか、老後に備えられていなかったかという差が表れているとも言えるのではないでしょうか。

種類別金融商品の保有額

 次に、金融商品の保有額を種類別に見ていきましょう。(平均金額)

金融資産保有額預貯金 (または将来備え)預貯金のうち定期性預金金銭信託生命保険損害保険個人年金保険債券株式投資信託財形貯蓄その他金融商品
総数(万円)1,059468243889882531721351430
20歳代1981334411018124777
30歳代572281985395267124392324
40歳代9724402551481963591431122527
50歳代1,49659731301507136433082061335
60歳代1,9308274641816115163133268284853

 20代では、預貯金が圧倒的に多いことがわります。

全体を見ると、年代が上がるにつれ、株式や投資信託の保有額が増えていく傾向にあります

50-60代で資産をきちんと形成できている人は、この証券投資などによって資産を増やしているのではないでしょうか

ただ、この表は平均金額のため、実態をきちんと表せていない場合があります。
保有額の多い人に引っ張られ、平均が高くなる傾向にあることを念頭に置いてください。

NISA、iDeCoの保有額

 次に、NISAやiDeCoを保有している人の保有額を見てみましょう。

NISA
(少額投資非課税制度)
つみたてNISA
(少額投資非課税制度)
確定拠出年金
(iDeCo
)
総数(万円)18120133
(実数)(254)(70)(145)
20歳代
(万円)
1081837
(実数) (20)(27)(31)
30歳代
(万円)
1571849
(実数) (43)(18)(37)
40歳代
(万円)
22324204
(実数) (36)(10)(31)
50歳代
(万円)
19120185
(実数) (50)(7)(33)
60歳代
(万円)
18630303
(実数) (105)(8)(13)

 他の年代と比べ、20代のつみたてNISA利用者数が多いと言えます。

少額から積立式で始めることができるため、収入の少ない20代でも利用しやすいというつみたてNISAの性質を表しているのではないでしょうか。

さらに、iDeCoも同様に利用されており、20代でも始めやすいものであることを表しています。

一方で、一般NISAは、120万円までと投資できる枠が大きく、貯蓄額の少ない20代はあまり利用されていないことがわかります。

金融資産の保有目的

 次に、金融資産の保有目的を見てみましょう。

総数
(金融資産保有世帯)
病気や不時の災害への備えこどもの教育資金こどもの結婚資金住宅の取得または増改築などの資金老後の生活資金耐久消費財の購入資金旅行、レジャーの資金納税資金遺産として子孫に残すとくに目的はないが、をしていれば安心その他無回答
総数 %
1550
47.41.91.27.257.09.421.02.51.827.58.90.0
20歳代(354)41.24.52.58.828.510.731.12.00.843.29.60.0
30歳代(278)52.21.81.110.854.07.926.32.50.735.34.00.0
40歳代(262)47.31.91.18.462.69.512.21.11.928.69.90.0
50歳代(248)42.70.81.25.667.39.314.13.61.214.514.50.0
60歳代(408)52.50.50.03.773.89.318.42.93.715.77.60.0

 20代の多くが、目的はないが保有している病気や不時の災害への備えとして保有していることがわかります。

また、20-30代では、旅行・レジャーの資金として保有している割合も高く、20代では老後の生活資金としして保有している人は30%以下と、老後についてはまだ考えていない人が多いと言えます

 年代が上がるにつれ、老後の生活資金として保有している人が増え、年齢と共に保有目的が明確化していく傾向にあると言えるでしょう

金融資産の保有額目標

 最後に、金融資産の保有額の目標を見てみましょう。

総数200万円未満200-300万円未満300500万円未満500700万円未満7001,000万円未満1,0001,500万円未満1,5002,000万円未満2,0003,000万円未満3,0005,000万円未満5,0007,000万円未満7,000万円以上無回答平均 (円) 中央値 (円)
総数 %
1550
17.63.23.78.60.915.81.79.97.15.05.820.72,1661,000
20歳代(646)29.45.66.07.30.516.40.97.63.12.32.618.31,160400
30歳代(438)12.62.73.47.81.118.31.69.810.36.87.518.02,6221,000
40歳代(440)16.12.01.18.40.716.61.111.48.65.76.621.62,6381,000
50歳代(395)12.91.34.110.11.013.21.89.18.65.67.325.12,4791,000
60歳代(581)12.43.32.99.81.414.53.112.06.95.96.221.72,4131,000

 

 20代では、200万円未満の割合が約30%と高いことがわかります。

また、1,000万円-1,500万円以上を目標としてる人も一定数存在し、これは他の年代とも同様の傾向でした。

 選択肢を選ぶ際に、区切りのよい選択肢が選ばれやすいことがあるため、1,000万円以上が選ばれたのではないかとも考えられます。

さらに目標はいくらでも設定できるため、高い金額を据える人が多いのではないでしょうか。

ですので、ここでは参考程度に考えてください。

まとめ

 今回は、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和元年)」から、年代別の金融資産に対する考え方についてまとめました

根拠と言えるデータを用いて、多くの人がどのように考えているのかを読み解くことができたのではないでしょうか。

vol.2では、年代別の老後に対する考え方を見ていきたいと思います。

次の記事もぜひチェックしてください。

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