社会人になる前に知っておきたいおカネの話ー給与明細の読み方ー

今回は給与明細の見方について皆さんと一緒に学んでいきたいと思います。

これから社会人になる人は、自分が毎月受け取れる給与について正しく理解できないと、損をしてしまうかもしれません。
すでに社会人の人も、自分がこれまでに受け取った給与は正しいものだったのか、これを期に再度確認してみてはいかがでしょうか。

給与明細とは

 皆さんは、給与明細の見方を知っていますか?

学生の頃にアルバイトの経験がある方なら、上記のようなものを一度は目にしているはずです。

ですが、項目が多く、数字がかかれていたり、いなかったり、、、どうやって見るのかわからない!と思っている人は結構多いのではないのでしょうか。

すでに社会人の方は、手取額って意外と少ないなと感じている人は多いのではないでしょうか。
自分がどのくらい税金や保険を払っているのかよくわかっていない方は結構多いですが、給与明細は完璧なものではなく、控除されるべきものがされていなかったり、間違っていることもあります

また、給与明細を読み解くことができると、自分が何にいくら支払っているのか意識できるようになり、税金や保険の仕組みに興味を持ったり、今後の働き方を考えたりすることにも役立ちます。

つまり、給与明細は毎月必ず確認するべきものでその読み方を社会に出る前に知っておくべきものなのです!

給与明細を確認する3つのポイント

 では、実際はどこに注目して確認していくと良いのでしょうか。

給与明細は勤怠支給控除の3つの項目から構成されています。

企業によって給与明細の形式は異なりますが、この3つの項目に注目して確認していけば問題ありません。

勤怠

 勤怠の項目では、出勤日数、欠勤日数、残業時間等が記載されています。

出勤日数や残業時間、休日出勤日等に間違いがないか確認しましょう。

また、有給残日数もここに記載されているので、自分がどのくらい有給を取れるのかも毎月確認しましょう。

支給

 支給の項目では、基本給や残業手当、役職手当交通費など勤務先から支払われる金額が記載されています。

主な項目は以下のようなものがあります。

基本給

 基本給とは、会社から支払われる給与の基本となる金額です。
通勤手当や残業手当、インセンティブ等は含まれておらず、ボーナスは原則として基本給をベースに計算されます。

 この基本給(給料)に、様々な手当が加わり、最後に控除を差し引いた金額が毎月の給与となります。給料と給与の違いも覚えておきましょう。

役職手当

 役職に応じて支給額が変動する手当です。会社によって変動額は異なります。

資格手当

 従業員が資格を取得しようとした場合や、資格を取得した場合に会社から支払われる手当です。会社によって対象となる資格や額は異なります。

住宅手当

 会社が従業員の家賃や住宅ローンの一部を負担する手当で、住宅手当のない会社もあります。

家族手当 

 配偶者や子どもなど扶養家族がいる従業員を対象に、会社が一定額支給する手当です。

義務ではないため、会社によっては支給がない場合もあります。

通勤手当

 通勤で発生する交通費に対する手当です。基本的には、非課税で支払われる手当です

残業手当

 雇用契約で定められた勤務時間以外の労働(残業時間)に対する手当です。

残業手当の算出方法は決まっており、

1時間の単価×残業時間×法定時間外労働の割増率1.25 で算出します。

みなし労働時間制を取っている企業も多く、残業代を算定しづらい場合もあるので、よく確認しましょう。

深夜勤務手当 

 22時から翌5時までの間の労働には25%以上の割増賃金を支払うという労働基準法に基づいた手当です。

休日手当

 労働基準法で定められた法定休日(最低限取らなければならない休日は1週間に1日or4週間に4日)に出勤した場合の特別手当です。

法定休日に出勤した場合、労働基準法によって35%の割増賃金が支払われます。

控除

 一番ややこしいのが控除の項目です。

控除の項目では、社会保険、健康保険、所得税などの収入から天引きされる金額が記載されています。

主な項目は以下のようなものがあります。

雇用保険料

 失業や収入減少時に生活を安定させるための保険となるものです。

算出方法は決まっており、

ひと月の総支給額(基本給+各種手当)×雇用保険料率 で算出されます。

この雇用保険料は厚生労働省によって、毎年見直され、事業によって率が異なります。

会社と従業員で負担し、一般的な自己負担は0.3%程度です

社会保険料

 けがや病気などの不測の事態や老後に備えるための保険です。

 社会保険料には、「健康保険料」「厚生年金保険料」「介護保険料」等が含まれます。

算出方法は、

標準報酬月額(4.5.6月の総支給額の平均)×所定の保険料率 で算出されます。

保険料率は、都道府県によってことなるため、都道府県毎の保険料額を確認してください。

会社と従業員半々の割合で負担し、納付しています。

ちなにみ介護保険とは、介護が必要になったときに介護サービスが受けられる保険で、「介護保険料」は40~64歳の日本国民に支払いの義務があり、40歳から自動的に支払いが始まります。

所得税

 その年の所得に応じて納める税金です。詳しくは以下の記事を参考にしてください。

所得税と住民税の話

年収によって税率は異なるため、自分の年収の税率をまず確認しましょう。

会社員の場合、毎月の納税額は仮計算された金額を源泉徴収という形で納め、その年の所得が確定する12月に、年末調整を行い、税金の過不足が調整されています

源泉徴収される金額は、

(基本給+各種手当)-(社会保険料+雇用保険料) で算出された金額を、源泉徴収税額表に照らし合わせ算出しています。

住民税

 前年の所得(給与)に基づき発生する税金都道府県や市区町村で金額が異なります

 6月以降に前年度分の住民税の納付が始まりますが、前年にふるさと納税iDeCoなどの減税対象となる制度を利用している方は反映されているか必ず確認しましょう

また、転職等で給料が下がった場合でも、前年度の給料をもとに算出されますので、先を見越しておカネを備えておくことが大切です。

よくある疑問をチェック!

給与明細を受け取っていない時はどうしたら良い?

 給与明細は所得税法によって交付することが義務付けられています。受け取っていない場合は、会社に申し出ましょう。

給与明細の保管は必要?

 最低3年保管しておきましょう。未払いがあった場合は過去3年までさかのぼって請求でき、失業した場合に「失業給付金」を申請したり、自分で確定申告を行う場合にも必要となります。

1年目よりも手取額が減っているのはなぜ?

 新卒1年目は、住民税が引かれないためです。
 住民税は、前年度の収入に対して発生する税金のため、前年度の収入がない新卒1年目では発生しません。1年目と2年目で基本給や手当が変わらない場合、住民税が引かれた際に1年目よりも手取が減る場合があります。

手取りを少しでも増やすには?

 昇給によって基本給を上げることも一つですが、iDeCoやNISAを活用することで税負担を減らすことは可能です。

iDeCoの場合は、掛金が全額所得控除の対象となり、税負担を軽減することができます。

まとめ

 今回は、社会人になる前に知っておきたい給与明細の見方について紹介しました

 「お給料アップしたはずなのに、所得税の税率が上がって手取額が減った!」
 「40歳を超えて、保険料が増えて手取りが減った!」
といったケースなども珍しくはありません。
必ず、給与明細を確認し、自分が何にいくら払っているのか、控除などに間違いはないかを確認しましょう

 そして、この給与明細を確認すると同時に、自分のライフプランから資産形成を考えたり、節税について考えてみてはいかがでしょうか。