今回は、「社会人になる前に知っておきたいおカネの話」源泉徴収・年末調整・確定申告の違いについて学んでいきたいと思います。
それぞれの言葉の違いや役割がわからない方、何となく聞いたことだけはある方、意外と多いのではないでしょうか。
それぞれの意味や役割を理解することができると、社会人になって資産形成を始めたい、投資を始めたいと思った時や節税対策をしたい時、何が必要なのかもわかるようになるので、資産形成に興味のある方は必ず押さえておきましょう!
目次
源泉徴収とは
早速ですが皆さん、源泉徴収の意味を正しく理解できていますか?
まずは、源泉徴収とは何か学んでいきましょう!
源泉徴収とは何か
源泉徴収とは、1年間の所得にかかる税金(所得税)を企業が毎月の給与や報酬などからあらかじめ差し引くことを指します。
簡単に言えば、企業が従業員の代わりに所得税を徴収し、まとめて納税してくれる制度です。
従業員に給与を支払う事業者であれば、必ず行わなければならないとされています。
源泉徴収を行うことで、副収入などがない限り、従業員個々人が自分で所得税を納める必要がなくなります。
国としても確実に税金を徴収することができ、安定的な税収を得ることに繋がるのです。
源泉徴収の計算の仕方とは?
源泉徴収の計算は、国税庁が定めた「源泉徴収税額表」を利用して、算出することができます。
ですが、所得税は1年間の所得に対して課税する税金のため、源泉徴収は仮の納税となっています。
年末に実際に支払われた1年間分の所得を再計算して、正確な所得税を算出する必要があり、それが年末調整と呼ばれるものです。(後ほど詳しく説明します)
源泉徴収の対象となるもの
源泉徴収の対象となるものは、主に3つあります。
・給与所得
毎月の給与から源泉徴収されますが、扶養家族の人数などによって課税額が異なります。
・賞与(ボーナス)
賞与も源泉徴収の対象です。国税庁が定めた「賞与に対する給与所得の源泉徴収税額の算出率の表」をもとに計算されます。
・退職金
退職金も源泉徴収の対象で、「源泉徴収のための退職所得控除額の表」「課税退職所得金額の算式の表及び「退職所得の源泉徴収税額の速算表」で計算されます。
ちなみに退職金には、勤続年数によって退職所得控除があります。
源泉徴収票とは何か
源泉徴収の仕組みは理解できたかと思いますが、いくら徴収されたかを確認するにはどうすれば良いのでしょうか。
確認の際に利用されるものが、「源泉徴収票」です。
源泉徴収票とは、給与や納税額等が記載された書類で、自分が1年間にいくら給与をもらい、いくら税金を納めたか確認することができるものです。
これには、配偶者控除や扶養控除・各種保険控除なども記載されています。
源泉徴収票が作成されるタイミングは3パターン存在します。
①年末調整の計算後
毎月12月に行われる年末調整が終わったタイミングで、源泉徴収票が発行されます。
受け取ったら、自分が1年間でいくら給与をもらい、納税したのかを必ず確認しましょう。
②退職時
退職する際に、その年の1月1日~退職までの給与に基づく源泉徴収票が発行されます。
転職の場合は、次の職場での年末調整に必要となるため、確実に受け取りましょう。
③収入証明が必要な時
収入証明が必要となるタイミングとしては、自動車や住宅などの購入時などローンを組む場合などです。
収入証明として、源泉徴収票が有効となるため、必要となった場合は、勤めている企業に発行を求めましょう。
年末調整とは
次に年末調整について解説します。
年末調整とは何か
年末調整とは、源泉徴収対象者の年間所得を確定して、所得税を再計算してズレを調整する手続きのことです。
1年間のうちに扶養家族が増えたり、昇給で給与が増えた場合も、年末調整によって、源泉徴収された所得税と正しい所得税を比べることができ、源泉徴収された金額が実際の所得税よりも多ければ返金、少なければ課税されます。
原則として、全ての従業員が年末調整の対象となりますが、例外として給与所得が2,000万円を超える従業員は年末調整の対象外となります。
この年末調整では、配偶者控除や基礎控除など、受けることのできる控除がいくつかあり、企業に申告書等の書類を提出することによって控除を受けられます。
確定申告とは
次に、年末調整と混同されやすい確定申告について解説します。
確定申告とは何か
確定申告とは、その年1月1日から12月31日までの所得から所得税を計算し、申告・納税するための手続きです。
給与所得者(源泉徴収対象者)、つまり会社員は毎月の給与から源泉徴収されているため、原則確定申告の必要はありません。
ただ、以下の条件に当てはまる場合は、個人で確定申告を行う必要があります。
その際、正しい確定申告を行うために必要となるのが、先ほどの源泉徴収票です。
確定申告が必要なケース
確定申告が必要となるケースは様々ですが、ここでは代表的なものを紹介します。
・個人事業主やフリーランスの人
個人事業主やフリーランスの人は、会社が源泉徴収してくれることはないため、毎年自分で確定申告を行う必要があります。
・配当所得(株取引など)や不動産収入があった人
投資で得た利益などに対しては、確定申告する必要があります。
NISAやつみたてNISAは、非課税となるため確定申告の必要ありません。
会社員でも必要なケースとしては以下のものがあります。
・年収2,000万円を超える場合
・副収入が年間20万円を超える場合
・2カ所以上から給与をもらい、一定の収入がある場合
年末調整されていないもう一方の収入が20万円を超える場合は、確定申告の必要があります。
確定申告をしたほうが良いケース
確定申告をする必要がない人でも、税金が戻ってくるなど、確定申告をしたほうが良い場合があります。
・医療費控除を利用したい場合
医療費控除とは、年間の医療費が10万円を超える場合に適用されるもので、確定申告をすることで受けられます。
・寄付金控除を利用したい場合
ふるさと納税利用者は要注意で、ふるさと納税を行った場合は、自分で確定申告をする必要があります。
ですが、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を利用すると、条件はありますが、確定申告が不要になります。この制度で、以前よりふるさと納税を利用しやすくなりました。
・住宅ローン控除を利用したい場合
住宅ローン控除を利用する場合は、確定申告を行う必要があります。
・退職後年末まで再就職していない人
年の途中で退職し、年末までに再就職していない人は確定申告が必要となります。
退職時までの所得税は納められていますが、年末調整ができていないため、最終の調整ができていないとみなされます。
多くの場合、払いすぎた税金が返ってくるため、忘れずに確定申告をしましょう。
確定申告が不要なケース
以下の条件に当てはまる人は、確定申告が不要な場合もあります。
・事業等における所得が年間48万円以下の場合
事業などで得た収入から経費を差し引き、年間で48万円を超えない場合は確定申告の必要はありません。
・副業をやっていても副収入が年間20万円以下の人
副業をしている場合でも、年間20万円以下であれば確定申告の必要はありません。
・400万円以下の公的年金受給者
公的年金等を受け取り、年収400万円以下で、公的年金以外の所得(給与や不動産収入、株取引など)が年間20万円以下であれば、確定申告の必要はありません。
まとめ
今回は、社会人になる前に知っておきたいおカネの話の中でも、何となく耳にしたことはあるけど、混同されがちな源泉徴収・年末調整・確定申告について解説しました!
投資を始めたいと思っている人、iDeCoやふるさと納税等で節税しようと思っている人は、今後自ら確定申告をする機会も増えてくるでしょう。
そのような時に慌てて確定申告について学ぶよりも、今から年末調整や確定申告の仕組みを理解しておいて損はありません。この機会に学んでおきましょう!